ダークネス〜闇を継ぐ者〜
作者: 零雅◆h76VqLg5SsI   2011年04月17日(日) 04時38分12秒公開   ID:hsGCdAlxRq6   ジャンル:ファンタジー



プロローグ







『闇』は、闇狩りと対立していた。

『闇』の息は荒く、体には無数の傷跡が目立つ。一方の闇狩りは、一見、なんのダメージもない様に見えた。

とはいえ、それはあくまで『鎧』という装甲《アーマー》越しの見た目。

装甲の内側の闇狩りには、かなりのダメージを与えているに違いない。

闇狩りは、低く槍を構える。

ギラリ、と。

夜の月の光を浴びて、槍が怪しげに光る。

闇狩りは言う。

「この世の秩序を守るために、今ここで、この名にかけて、貴様を殺す」。



『闇』は思った。

所詮、この程度。

自分は闇で、奴らは正義。

その差異は……どこから生まれたのだ?

この、外見か?

人間《やつら》とは少し違う、この外見がその原因というのか?


ふざけるな。


迫る槍を安易にかわし、闇狩りの鳩尾に強烈な拳を叩き込む。

殺しは、しない。


『闇』には、彼を殺せなかった。








悪と、正義。

対象とされている2つは、何が違うのだ。

悪ではならない、と人は言う。

正義であれ、悪はいけない、と。


悪とは、何だ。

正義とは……何だ。

■作者からのメッセージ
今日はじめまして。零雅です。
今回のテーマとしては、『闇』と『正義』ですね。前から書きたくて書けなかったテーマです。

プロローグを、又はタイトルをご覧になった方は分かると思いますが、この小説は『闇』、つまり俗に言う『悪役』視点で書いて行きます。
……と言っても、テレビのアクションアニメに出て来るような、「がっはっは、ワシは世界を我が物にするのだー」みたいな、そんなんじゃなく。
『心は優しいのに、外面だけで悪役だと決め付けられてしまった悪者』を目指したいと思っています。

悪と正義。
対照的な2つの物語、どうぞお楽しみください。

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